魏の痰壺

もやもやを吐き出すところ

報い

マッチングアプリを始めて4ヶ月経つ。

 

相手の機嫌を伺って、些末なことを質問して(本当は何ら興味ないのに)、いざ会ってみると別人だったり、癖が強すぎたり、マナーを知らない気取り屋だったり。

 

いい関係を築けたと思っても、向こうはそう思っていなかったり(それはお互い様か)、擦り寄る素振りを見せても、急に音信不通に。

 

十数人と会ってきたが「普通に話せる」人がどれだけ貴重なことか。自分に興味を持ってくれて、こちらも興味を持てて、人並みの振る舞いができる人は…ほとんどいなかった。

 

初対面であるのを割り引いても、これまで関わった人間とは全く違う。異質な「他者」が皮を被って、電車の隣や目の前にいるかと思うとゾッとする。時間と金の無駄でしかなかった。

 

一時の迷いで「普通」をかなぐり捨ててしまった、愚かな自分への報い。ほとほと疲れてしまった。いつまで罰せられればよいのだろう?

夢を見た。

 

ダイニングバーで店主の兄ちゃんに「好きな人を親に理解してもらうにはどうすればいいか」尋ねていた。

 

脱出ゲームのようなイベントでAもいて、だけど自分はアプリで会ったであろう別の相手とグループを組んでいた。

 

バスに乗っていて、二列後ろにAが座っていた。南仏風の家の前でバスが止まり、Aが降りていく。過ぎゆく手を思わず握るとAも涙を浮かべながら頷いていた。

 

目が覚めた。静かな朝。

 

今日はアプリで会った相手と寿司を食わねば。けれど恋人ガチャをいつまで続けるのか。

 

何をなすべきか答えは出ているのかもしれない

ターナー日記

ターナーと聞くとつい浮かぶ。テート美術展の感想。

 

ジョセフ・ターナー「湖に沈む夕日」等々

印象派っぽいボンヤリとした色調がキャンバスに散らされていた。最初は芒洋としていたが目を凝らすと構図が浮かんでくる。

 

ジョン・マーティン「ポンペイと〜の崩壊」

…真っ赤に爛れた火山と手前の暗い海、避難した人々とのコントラスト。ポンペイ市街地のシルエットが立体的で迫るよう。

 

ジェームズ・ホイッスラー「ペールオレンジと緑の黄昏〜」

…午後4時くらいの穏やかな海。青緑の海に所々陽光が射す。瀬戸内海が思い浮かんだ。

 

マーク・ロスコ「黒の上の薄い赤」

…ドス黒く生々しい色調はまるで経血

 

ゲルハルト・リヒターアブストラクト・ペインティング」

…反射する都市生活の光。絵の具を塗りたくり、引っ掻いて削ぎ、また塗る勢い。近づいても離れても見惚れてしまった。

 

ジュリアン・オビー「雨、足跡、サイレン」等

デイヴィッド・バチェラー「〜キングスクロス駅」等

…オビーの作品はゲームの一場面のようで楽しい。バチェラーの作品は電飾が仕込んでいた。どちらの絵も廊下の突き当たりに飾りたい。

 

オラファー・エリアソン「星くずの素粒子

…吊り下げられて回るガラス玉を撮る人達。上野の現代美術館でも、数多の提灯に人が群がっていた。

 

SNS蝿の誘蛾灯

近況

閉塞感に悩まされている。精神的にも、肉体的にも。胸が詰まって息苦しい。

 

30過ぎても「ひとかど」の人物になれず、漠然とした不安。スキルを身につけようと言い聞かせていたら、あっという間にもう10年。継続は力なりと言うが、努力できること自体が才能だ(月並みな感想)。

 

それに恋人たちのこと。3年付き合ったAは、別れた後も脳の一部に棲みついている。会うたびに湧き出た暖かい気持ち。何か行動するとAならどう反応するかつい考えてしまう。

 

真面目なBとは、独りよがりな思い込みで別れてしまった。元々1年続くか不安だったが、預言を自己実現した形だ。Bに弁解したり、探しに行く夢を時々見て、起きる度に涙が滲む…が、自己憐憫に浸りたいだけかもしれない。

 

散らかった自室のような思考を整理するため、時々書き綴ろうかと思う。近況しかり本の感想しかり。